被服室に着くと、もうすでに列が出来ていた。

ちょっと出遅れたかな。

クラスと名前を用紙に書いて、姿見を借りた。

キャスター付きだから、階段以外は滑らして運べるから良かった。

「お前、それ1人で運ぶのか?」

急に聞き慣れた声がして、思わず体がビクッと反応してしまう。

「う、うん。」

今、衣装に着替えてるはずじゃないの?

「貸せよ。」

「へ?」

まだ制服を着たままのアイツは私の手から姿見をとって、階段を上りだした。

「ちょっと、それくらい持てるし。なんでまだ制服のままでこんな所にいるの?」

アイツは返事をしないまま、3階まで姿見を担いで上がってしまった。

「どうせ、女は時間かかるんだろ?俺はすぐ終わるし。」

どうしてこんなに当事者意識が欠けてるんだろう。

「いくら馬鹿力のお前でも2階分上がるのは無理だろ。」

そう言って姿見を置いて、アイツはまた階段を下りて行った。

…なんなのよ。

格好つけないでよ。