パタパタ…

視聴覚室の前に行くと、廊下にはあいつ1人だけだった。

アイツはブラックスーツを着て、髪型もいつもの無造作な感じとは違ってきっちりセットされていた。

どうしよう…。

格好良いかも…。

「お前、来るの遅くない?」

…この憎まれ口がなくなればね。

「走って来たわよ、この馬鹿。」

…私の減らず口もなくなればね。

「ったく、可愛くねー。」

「アンタに可愛く思われたって嬉しくないわよ、馬鹿。」

どうしてこんな嘘ばっかり出てくるんだろう。

馬鹿は、この私だよ…。

本当、可愛くない。

「なにムスッとしてんだよ。」

「うっさい!ブスで悪かったわね!」

「ブスとは言ってないだろ?」

今更そんなフォローいらない。