「アイツが誰かを好きになれば、私はそれを止める資格なんてないよ。」

アイツに人気があっても、どんなにライバルが多くても、私は断トツでアイツから遠い存在なんだよ。

告白なんてしたら、いつもみたいに見下した態度で、鼻で笑われるだけだもん。

「分かってないね、香ちゃんは。」

アイツのことなんて、私は何にも分からないよ。

せめて普通に、ごく普通にクラスメイトとして話せるようになれれば良いのに…。

「小山くんにとって、香は特別な存在だよ。これは絶対断言出来る!どうでもよかったら口利かないよ、小山くんみたいな人は。」

小枝の真剣な目にも、私は素直に頷くことが出来なかった。

その"特別"は、私が望んでいる"特別"なのかな?

確かに、アイツは無愛想で口数少ないから、わざわざ無関心な人に絡んでいったりはしない。

特に、女子には。