がちゃ



…あぁ、またいる


お隣さんの黒木直人は、いつも私の家の前で待っている。

そして私が歩き出すと、黒木……、クロも歩き出す。
私が止まると、クロも止まる。



とりあえず、私の数歩後ろを歩いてくるのだ。
監視されてるみたいで居心地がすこぶる悪い。
迷惑極まりない。


帰りも、そう。

生徒会で帰りが遅くなろうと、絶対クロは私のことを待っている。



言葉を交わすわけじゃない。

ただただ私の後ろを歩いている。


「………」

「………」



今日も挨拶なんてない。
あるのは目配りだけ。


クロは、私が来るまでずっと本を読んでいる。
本の何がおもしろいのか全く理解できない私にとっては、とるに足りないことだけど。