ピンポーン


チャイムが鳴る。

あたしは起きあがってドアを開けた。


モヤモヤがすぅっと消えていく。

自然に笑顔がこぼれる。


「………翔太くん!」


「あ、苺。これ、使わないかな―と思ってさ。英語の単語とかまとめたノートなんだけど。俺が一年の時書いたやつ。苺、英語大の苦手って言ってただろ?よかったら復習とか予習に使って」


嬉しい。

嬉しい。

すっごく嬉しい。


「ありがとうっ!やった~」


大げさに喜ぶのではなく、心の底から本当に嬉しくて喜んだ。


「よかった、それじゃ」


ドアが閉じる。

翔太くんは隣の部屋へ行ってしまった。