「あ〜あ初チュウが星良かよっ」

まだ赤みを帯びてる唇をとがらせ、心平は言った。



――ズキンッ…――
そんな言い方ショックだよ…



「えっ?そ、なんだ」

あたしは重大な罪を犯した気分。



確かに心平はモテるけど、付き合ったって話は聞いたことなかった。



「ごめん」

ただ謝るしかない。



心平の初カノになる予定の人が、初チュウの相手になるはずだったんだもんね。



「謝んなよ!」



「だって初チュウって重大じゃん。

それをこんな幼なじみに奪われるなんて…」



「お互い様じゃん。

星良はどうか知んないけど」

心平の黒目が真っ直ぐにあたしに向けられる。



「あ、あたしもそうだけど…」

そう…けどあたしは心平のこと好きだから…

こんなことになっちゃったけど、

ほんとはむしろラッキーなんじゃないか…

そんなこと考えちゃう。