「心平、今日いっしょ♪ 帰ろうよ☆」

 あたしはさりげなく、教室でHRが終わったら今にもダッシュし始めそうな心平に声かける。


HR中からスクバを肩にかけ、体が廊下の方向を向いてた。



 ほんのりブラウンな肌、鼻筋が通ってて、黒目がちな瞳がクシャッと笑った。


笑うと心平はエクボができるんだ。


それにつられて、左目の下にちっちゃくポツンとあるホクロも上がる。


「わりぃ。急いでっからっ!! じゃあ」

 そう言って、廊下をダッシュして駆けてく心平の後ろ姿を追いかけることは不可能だ。


あっ、また背が伸びたのかな?


長い足で大股に走る。


ただ、見送るだけ。


陸上部の心平のスピードには追いつけない。