だから今まで、ずっと彼女の無実を証明しようと、仕事そっちのけで奔走していたのだが、今だにそれは叶わないらしい。


急に、局長は立ち上がり、コートを取って出ていこうとしていた。

「局長!?」

「そういえば、七丘、おまえの彼女今どうしてる」

「そ、そんなの知りませんよ。別れてから連絡なんて取ってませんし」

局長は笑っていた。

「気になるくせに。無事だといいな」

そう言い残し、局長は出ていってしまった。


あの人は、きっと会いに行くのだ。

愛しい人の許へ―――




「ったく、局長は。また怒られても知りませんからね」

『無事だといいな』

局長の言葉を思い出し、ふと、あいつの顔が浮かんだ。

携帯電話を出す。

しかし、またポケットにしまいこんだ。