「君なの?」

後ろに気配を感じて振り返る。

そこに、彼女が立っていた。

「お疲れね。迷ったんでしょう」

「うん。これは君が?」

「そうとも言えるわ。でもここはもともと迷路なのよ。私が森にいたら大抵は大丈夫なんだけど」

「いままでいなかったのか?」

「少し用事がね。戻ったら人の気配がしたから」

つまり、わざわざ捜しに来てくれたのか。

「とりあえずこっちにいらっしゃい。休むといいわ」

そう言って、彼女は家に招いてくれた。