タカ。

最近世間を騒がしている生物は、環境の変化に応じた体形をとり、生き残る手段とした。

オゾン層の破壊は大空に棲む鳥たちにとって死に値するものだった。

人間はコロニーを造り難を逃れてはいるが、外に出れば一発で皮膚ガンになる。

リラのいるこの森はもちろんコロニー外だが、彼女はその魔力で紫外線も防いでいるのだ。

そのため、ジスたちはコロニーから来るときは専用の車に乗って彼女のエリアに入り、そこから歩いて森へと進むのである。

それほどきつい紫外線の中、生き残るためにまず変化を遂げたのがタカなのである。

丈夫な皮膚を持ち、しかし羽毛はほとんど失われてしまった。

世界には多くのコロニーが連なっており、1つのコロニーに侵入したタカが次々に侵入路を広げ、破壊していく。

政府はもちろん抵抗したが、軍を用いてもその頑丈さに手間取っている。

また、タカは群れを成すようになり、その数は急増。一気にその群れが押し寄せ、死肉はもちろん、生きた、たとえば人間が食料として育てている牛や豚などの肉を漁っている。

時に人間の赤子の、そのやわらかい肉まで貪り食っている。