あなた、だれ....?

彼女は夢の中の人物に問うた。

あなたは、だれ....?

姿はよく見えないけれど、その人が笑っていることはわかった。

――――おろかな魔女…

「!?」

リラは目を覚まし、現つの風を感じた。

いつのまにかうたた寝をしていたらしい。

テーブルに俯せになった彼女の肩には、大きな上着が掛けられていた。

「おはよう」

その上着の持ち主が声をかけた。

「いつのまに.....」

彼女はただ驚いていた。

彼が来ていたのに、気付かなかった....?

まさか、そんなはずはない。

でもやはり、私は、

―――魔力を封じられていた.....?

いったいだれが―――

“おろかな魔女”

「!?」

「どうした? 変な夢でも見たか?」

「なんでもないわ。寝起きは低血圧なの」

「ならいいけど、あ、そだ、茶葉どこ? たまには俺が――」

「私がやるから座っておとなしくしてて」

彼女はため息をついて立ち上がり、上着をその手に返してお茶の準備を始めた。

「俺が煎れてやろうと思ったのに」

彼はふてくされる。

「いやよ。まずそう」

「言ってくれるな」

「あなた、お茶を煎れにわざわざ来たわけじゃないでしょう」

「リラに会いたかったんだよ」