私は牛の世話をしていた。

ところが、急に牛たちが暴れだして、私は、死を覚悟した。

しかし、私の前に、同い年くらいの女の人が立っていて、気付いたときには辺りはいつもと変わらない景色が広がっていた。

私は見逃さなかった。

新しい科学技術なのかしら。

彼女は確かに、水をだしていた。何も持っていない右手から。

左手にはホウキ。しかも古い形だ。

なぜホウキ?

掃除婦?

でもあれじゃあちゃんと掃けないわ。

「あの、ありがとう。あの、あなたは」

「たまたま通り掛かっただけよ。」

彼女はそれだけ言って帰ろうとする。

「あ、まって! お礼がしたいの!」

私は急いで小屋に行き、今朝絞ったばかりのミルクを持ち出した。

「これ、お礼にもらって」

「悪いけど、私人工物は」

「大丈夫。クローンじゃないわ。ウチの牛はみんな昔からの自然乳牛よ」

「じゃあ高級品ね」

そして彼女は受け取ってくれた。

「あなたどうしてここに? 見たことないわ」

「牧場が今どうなっているか知りたくて。でもよかった。まだ、自然も存在するのね」

この人、科学者? だから自然が見たくなったとか?

「科学者だなんて心外だわ。私は、、魔女。魔女よ」

「え、じゃあ、あのコロニーの外にある森にいる人?」

「ええ。」

「すっごーい! ねぇ、連れてって! 本物の動物とか植物ばっかりなんでしょ!? ね、どうやって暮らしてるの? 自炊? わぁ、すごい、本物なのね」