「な、なんで涙なんてっ…」


慌てて涙を拭う。
今さら、
今さら泣いても何も意味ないのに…


「……ぁ」

「!?」


私1人しかいないはずなのに
声が聞こえて、驚いた。

声のした方へ
顔を向ける…


「誰…」

「……」


私の質問を無視し、
一度空を見上げたかと思うと
私を見て、
すぐに出ていってしまった…


「何あいつ…」


真っ黒の髪。

冷たい眼差しの中に宿る
かすかな光。

その光を消し去るような
黒く深い瞳。


私はゆっくりと立ち上がり
その場を離れた。