「あの時の…」

「思い出したか?」


あの時の小さな命…
私は気付かないうちに
笑みを溢していた。


「でも、なんで知っているの?」


私はあの時1人だったし、
あの場所を知っている人なんて
見たことがない…


「たまたま見ちゃってさ…」


見られてた?
でもどうしてあの場所を知ってるの?


「よくあそこ知ってたな?」


知ってるも何も
あの場所は特別な場所。

毎日通ってた時もあったぐらいに。


「別にいいでしょ…あなたこそ
何で知ってたわけ?」


「秘密」

「……秘密って」

「あえて言うならー…」


"大切な場所"


そう彼は言った。
瞳が遠い過去を見ているようで…

私はそれ以上は
何も聞かなかった。