「ごめんね…」


立ち去ろうと膝を伸ばす。

そのとき
小さく子犬が鳴いた。


気づくと私は膝を曲げ、
子犬を抱きしめながら
泣いていた。


「ごめっ…ごめんね…」


止まらない涙。

謝りながらも手に力を込める。


「……?」


頬に温かい感触を感じて
目を開ける。

頬を伝っていた涙を
子犬が舐めていた…

"大丈夫だから"

そう言われた気がした。

私はしばらく
抱きしめたままで…

雨が止んで
青空が見えたとき、
また来るからと言って

その場を離れた…