「そんなの俺が出すってば」
「なんで貴方が私の分までお金を出す義理があるわけ?はっきり言うけど、今日話したばかりの人と遊園地なんて真っ平ごめんなんだよね」
こうやってヒドいことを言っておけば、もうこの人だって私に近づかないだろう。
私は睨み目で、低い声で言ってやった。
なのに……。
「俺は、鳴沢さんと行きたいの。それだけじゃ、ダメ?」
しつこすぎるぞ、この男。
「ふうん。分かった、実験の一環でしょ?」
「そうそう。実験の一環だから…行かない?」
縋るような、子犬のような瞳で私を見る草川くん。
――行きたくない。行きたくない。
でも仕方ない。だって、実験の一環なんだもの。
自分の中で私は必死に言い訳をしていた。