「痛いんですけど??」

「仲間が来るまで大人しく捕まってろ。」

「何で伊次くんが捕まえないの??」


私がそう聞くと、
気まずそうに視線をそらした。


“大人しく捕まってろ”??

大人しく捕まってるわけないでしょ。


「伊次くん、」

「あ??」


私はクスッと笑って、
二つの輪っかがついている物を顔の横で揺らした。


右の警察との距離89m。

左の警察との距離214m。


私は頭の中で周囲を 確認しながら眼前の伊次くんを相手する。