「……なぁ。」

「うん?」


私は首をかしげる。


「齋藤は、初対面の男にキスしたことあるか??」


!!

心臓が大きく跳ねた。


「……は??」


私は平常心を装って聞き返す。


「あ、いや……、」

「されたんだ??」


伊次龍樹の顔が赤く染まる。


「へぇー、そうなんだぁ。」


あの氷のプリンスがねぇ……。

そう言いながら、私はニヤリと笑って伊次龍樹を見る。


「生憎、私には分からない。」


そう、分からないんだ。