カツカツ……。 廊下に私の靴音が響く。 「不用心ね。」 “この邸に泥棒が入る”ってご丁寧に犯行予告までしてあげたのに。 手にはもうすでにお目当ての“品”がある。 「まぁ、警報器を避けて通ったからね。」 鳴らないからまだ安心してるのか。 ……。 そうでもないみたい。 私はクスッと笑って漆黒のマントと長い髪を翻し、 わざと警報器にその姿を映した。