side 美恋




「あたし…帰るね」




目の前にいる空にそう告げる。




「わかったよ。鞄は知那にでも家に届けるように頼んどくから、話聞いてもらいな?」


「うん。…じゃあね」




そう言って保健室から出た。


最後に見た空の顔は、いつよりも優しく微笑んでいた。








家に着き、部屋に入るとベッドに潜り込む。


あたしはそのまま何をするわけでもなく。


また流れ出した涙をただただ止められずにいた。