振り返ることが出来ない。 声だけで、蒼が怒ってることがわかるから。 内履きの音で、蒼がこっちに向かってきていることがわかるから。 「おい、美恋」 掛けられた声に、余計に肩が上がる。 後ろに感じる蒼の存在に胸が苦しくなった。 「聞いてんのか?お前に言ってんだよ、バカ美恋」 聞いてる。 聞いてるよ、聞いてるに決まってるじゃん。 好きだもん、そんな蒼が好きなんだもん。 バカはどっちよ… 「いいから返事しろや」