俺を見上げて、涙目になっている美恋。 自然と上目遣いになるそれから、目を逸らして男に視線を向ける。 「すみません。こいつ、俺のなんで」 「チッ、男連れかよ」 そう言って、さっさと離れていく男。 それを見ていると、妙に視線を感じて美恋を見た。 案の定、視線は美恋からのもの。 「何?」 「え、あ……そ、蒼が!“俺の”とか言うから…」 だんだん小さくなる声と共に、美恋は俯く。 小さくてもしっかりと聞こえたそれ。 「あ、ごめん。ああ言った方が追い払うの楽だと思って」