翌朝。
「おーい、モテ子。朝だぞ、起きろー」
「むにゃむにゃ……まだ眠い……」
「おーい、モテ子。朝だと言っとるだろうが。起きろー」
私は反対側へ顔を向け、枕にうずめた。
「無理です、起きれません。目がくっついて開きません……」
「もう午前七時だぞ。九時から講義があるのに、今起きなければ朝メシ作っても食う時間が無くなるぞ。朝メシ食わないで行く気か?」
「そうですねぇ。朝ご飯抜きですねぇ。私は朝ご飯より睡眠時間を取りたいんですぅ!」
言ったとたん、布団を思いっきりはがされたうえ、勢いで床にドン!と落ちた。適温にぬくぬくしてたのに寒風に触れ、頭のてっぺんから足の先までビックリした。
「いててててっ!何をするんですか!」
飛び起きると、目の前には私からはがした布団を持ち、涼しい顔をしたロマンスが立っていた。
「おはようございます、モテ子様。ごきげんがななめのようですが、どうかなさいましたか?」
「まだ寝るって言ってるのに、どうして布団をはがすんですか!」
「モテ子になりたいんだろう?だったら、朝メシをちゃんと食わなきゃダメだ。朝メシを食わないと便秘になるし、頭が動かないから男たちが発するサインに気づくのも遅れる。他の女に横取りされちまうぞ」
「ぐっ……」
「だいたいだな、モテ子になって終わりでいいのか?」
「はい?」
「行く末は、最高の男と結婚するつもりじゃないのか?」
「そりゃそうですよ。ずっと独身なんて、さびしすぎる……」
「だったら人間として最低限の事は出来ないとダメだ」
「大丈夫。私、玉の輿に乗るつもりですから。お金持ちなら家政婦さんを雇って、家事炊事ぜーんぶ!やってもらえばいいでしょ。私がムリして起きる必要なんてないんです」
「かぁーっ!えらく依存的な事言ってんな。アタイが男だったら、お主みたいな女は死んでもゴメンだ!」