「そんなエゲツない事、考えたらダメですよ!」
「じゃあ、友達から始めるか?青田買いをねらって」
「だからしませんって!」
「そかのぉ。私には女のプライドと金の匂いがプンプンするがなぁ」
「だいたい翔太君、まだ一年生ですよ。医大は六年も通わなきゃならない上に、難しい国家試験だって合格しなきゃならないんです。バリバリ働いてお金を稼げるようになるのは何年先かわかりません」
「しかし、将来的に見れば、図書館司書より稼ぎが良くなる可能性は十二分に高い」
「だから、お金が目的じゃないんです!」
「医者の嫁になると言えば、世間に対して鼻が高いだけでなく、親もさぞやホメてくれるだろうなぁ」
「どうしてもそっちへ持って行きたいんですね」
「知佳の深いところにある真意を知りたいだけさ」
「だと良いんですけど」
ロマンスは再びココアを飲むと、クールなまなざしで私を見た。
「アタイは純愛を否定するつもりはない。ドラマや映画など様々なメディアでどれだけドロドロしたストーリーを流し、儲けていても、人々の多くが本当に望んでいるのは純粋な愛だ。『金が無くても愛があればいい』、『一生愛する人と添い遂げたい』と思っている」
「ええ、そうですとも!」
「ただ、それを一人の男に求めるのは、あくまで男女として深い仲になってからだ。スタートラインにも立っていないのに、純愛求めて男を追いかけたんじゃ、追いかけられる方もウザくてたまらんだろ」
グサリ、私の胸にナイフが突き刺さった。これまでの私の恋愛がまさにそうだったから。
「かつ、知佳の場合。追いかけている相手ば純愛してくれるかどうかも見極めなかった。結果、純愛とは真逆の、メディアが喜ぶドロドロストーリーを体験する羽目になったというわけだ」
グサグサッ、さらに胸にナイフが突き刺さる。
(図星すぎて、痛い……)