「いいんだよ、思い出さなくても」
「えっ?」
ロマンスは緑茶をおいしそうに一口飲むと、一息ついて今川を見た。その瞳は不敵な光を放っていた。
「アタイが出会いのお膳立てをしてやったのさ。知佳が修行をしたいと言ったから」
「なるほど!」
「この恋の試練をいかに乗り越えるか。じっくり見てみようじゃないか」
「さようでございますね」
「忙しくなるぞ今川。サポートよろしく頼む」
「御意」
そんなことになっているなど梅雨も知らない私は、ボーッとしたまま階段を上った。受けた衝撃は思いのほか強く、なかなか元に戻らなかった。
(もう、どうしていいかわからないよーっ!)
ただ考えを巡らせるだけだった。