ジリリリリリリン!けたたましいベルの音で目を覚ました。時計を見れば、午前六時半ちょうど。目覚まし時計のベルが鳴ってすぐ目を覚ましたらしい。
 パジャマのままバスルームで顔を洗い、化粧水、乳液をつけると髪を軽く濡らし、置いてあったドライヤーで寝グセを直した。部屋に戻れば服を着て、簡単に布団を直した。
 すると、トントンと誰かがドアをノックした。
「はい」
ドアを開けると、笑顔の裕矢が立っていた。
「おはよう、昨日はよく眠れた?」
「はい、おかげさまで」
「朝食ができたから呼びに来たんだ。昨日、お茶を飲んだリビングの隣にあるダイニングに集まって食べるんだ。支度が終わっているなら行こう」
「あの、お父さんとお母さんは、もう起きているんですか?」
「ああ、起きているよ。父さんは約束通り知佳ちゃんの事を母さんに話してくれたみたいで、さっき俺からも話そうとしたら、もう知ってるっていっていた」
「怒っていなかったですか?」
「ぜんぜん。父さんがうまく言ってくれたみたい」
「そうなんだ。後でお礼を言わなきゃ」
「きっと喜ぶと思うよ。さ、ご飯を食べに行こう」
「はい」
私は着替えると、緊張して部屋を出て階段を下りた。裕矢はお母さんが怒っていないと言ったが、やはり実際に会ってみないと確信が持てなかった。
 一段階段を下りるごと、緊張感は高まった。居間に入りダイニングに続く入り口を見れば、最高潮に達した。
(どうか仲良くなれますように。どうか仲良くなれますように!)
裕矢の後を続いてダイニングに入ると、真っ先にお父さんと目が合った。お父さんは横長に置かれた長方形のダイニングテーブルの左端に座って、新聞を読んでいた。
「お、おはようございます」
「おはよう。昨日はよく眠れたかな?」
「はい、ありがとうございます」
「それはよかった。さて、まずは妻を紹介しよう」
お父さんは自分の左隣に座った女性を見た。
(わ、そっくり!)
彼女は裕矢とそっくりな顔をしていた。特に目元は生き写しで、お母さんと言われなくてもすぐわかりそうだった。