「面倒を見る信者が多いのはもちろん、それじゃあお主が成長しないだろう」
「しますよ。今、絶対良い女になりつつあると思いますもん」
「しかし、アタイのアシストを受けての成長だろう。それではいつか忘れてしまう」
「そんな事ないですよ。ずーっと、ちゃんと覚えていますよ」
「知佳、失敗する事はしんどいし、恥ずかしい。その気持ちは十分わかる」
「はい」
「だが、過保護は毒だ。アタイがいなくなった時、お主は一人で立っていられない。すぐ倒れてしまう」
「うーん」
「良い女ってのは、自立した部分もちゃんとある。それが本物だ。相手に依存してばかりでは、男がウンザリして逃げ出してしまうかもしれない」
「……」
「失敗は己を磨いてくれる。失敗して嫌な思いをし深く考えるたび、子供の殻を脱ぎ捨て大人になっていく。素敵じゃあないか」
「はあ……」
「それにな、知佳。私はお主に最強のモテ子になってもらいたい。最強のモテ子になったあかつきには、『お礼参り』の布教はもちろん、モテなくてヘコんでいる女子達を少しずつでいいから救ってほしいんだ」
「私が?できるかなぁ……」
「できるさ、アタイの修行をちゃんと最後まで受ければ」
「だいたい人の悩みを聞く才能なんかあるのかな?いっつも失敗してばかり。今回の恋愛だって、うまくいくかどうかわからない」
「お主が信じないで、誰がお主を信じる?」
「…………!」
「お主が自分を『私は恋愛相談までデキる最強のモテ子』って自分を信じないのに、誰もお主を信じるはずがない。これはモテ子になるための最強の奥義でもある」
「奥義!」
「疑っている心から発せられる言葉や態度にはパワーがない。信じる心から発せられるものにだけパワーが宿り、相手を魅了し感動させることができるんだ。男の心だって動かすことができるんだ」
「なるほど!」