教えて!恋愛の女神様

 一番最初に目に着いたのは、ジャパン・ポップスのページ。裕矢が言った通り、どれも最新の曲ばかりで人気アーティストの名前が並んでいた。中には私が大ファンの歌手もいて、ますますテンションが上がった。
「シウの『君を愛さずにいられない』が入ってる!」
「知佳ちゃん、シウが好きなの?」
「はい!めちゃめちゃファンで、彼女の曲は全部マキシシングルのCDで買って持ってます!」
「おお、筋金入りだね」
「そうなんです。彼女の書く詩が大好きなんです」
「わかる!男の俺でも共感できるもの。今回の新曲もそうだよね。サビの部分が良い。スローでムードのある曲と溶け合って、めちゃめちゃグッと来るよね」
「『もう恋なんてしない 心から思った
  もう二度と傷つきたくないから 
  なのに!君に出会った 君は運命の人
  私の心をしっかりつかんで離さない
  フラれて たくさん傷ついて 
  恋なんてしないと誓ったのに 
  君を見ていると 恋せずにいられない
  君が恋のスイッチを押してしまったの』」
「もう、覚えたの?」
「はい。CD買って、一日で覚えました」
「しかもウマい!」
「カラオケ行って鍛えてますもん」
「それだけ上手に歌えるって事は、かなり通っているんじゃない?」
「ここ最近は行っていないですけど、前は最低でも週に一回は行っていたかな」
ふと三週間前、行ったカラオケを思い出した。あの時はまだアミ、ユカ、マアコと友達だったから、バイトのない平日の夜、みんなで集まって歌いまくっていた。大学のそばにあるカラオケ屋なので学生用に安いプランがあり、気軽に楽しめた。
(なんだかんだ言って、楽しい時もあったな)
裕矢と会話していた事を忘れ、一人回想に浸った。絶交した事を思い出すと、切なかった。
「どうしたの?車に酔った?」
「えっ?」
「突然無口になったからさ。乗り物酔いしたかと思って」
「いいえ、酔っていません。ちょっと思い出に浸っていただけです」