「これに気づいている者か、素直にアタイら天に住む者の導きを受けた者は、良いパートナーシップを気づいておる。そうでない者は、この世にはびこる物質的な価値観に振り回され痛い目にあっている」
「な、何ですか?それ」
「自分を分析する事だ」
「自分を分析する?」
「自分の長所、短所などを調べると言うことだ」
「そう言うことか!でも、何で分析が一番大事なんですか?」
「さっき占っていた四柱推命もそうだが、気質が全く似ている者同士と言うのは、実はうまくいかん。良い時は良いが、悪い時は双方に悪いからな。うまくいくのは、反対の性質を持っている者同士だ。たとえば、真面目な奴には、おちゃめな奴。せっかちな奴には、のんびりな奴。デコとボコが組み合わさってこそ、うまくいくと言うもんだ」
「なるほどね!」
「と言うわけで、末長いお付き合いができる相手を見つけたいなら、相手が『自分の欲しいものを持っている人』ではなく、『自分にない物を持っている人』が望ましい。恋愛でコケまくる奴と言うのは、相手に『自分が欲しいものを持っている』事を求めてばかりだ。うまくいかないのも当然だろう」
「でも、なんでそんな重要な事を今言うんですか?修行の最初に言ってくれればいいのに」
「アタイと会った時の知佳はネガティブな思いにまみれていて、とてもそんな余裕はなかった。言ったところで聞きはしなかっただろう」
「ぬっ……」
「良い恋をするには余裕も必要と言うわけだ」
「だ、だとすると、私は今、余裕が出て来たという事ですよね?」
「ああ、そうだ」
私はウフッと笑った。ロマンスは何だかんだ言っていたが、このまま修行をがんばれば翔太と付き合えそうな気がした。
 とたん、ロマンスはカーッカッカッ!と豪快に笑った。
「これもまたまた、アタイのおかげだな。うやまえ知佳!」
(また始まったよ)
盛り上がった私のテンションは一気に下がった。反対にロマンスはしばらくの間、笑い続けていた。