翌朝。午前六時。起きるとまだ疲れが残っていた。もちろん原因は、昨夜遅くに元付き合っていた彼氏が訪ねて来たから。
(なかなか帰ってくれなったもんな。ロマンスと今井さんのおかげで何とかピンチを乗り切ったけど、またいつやってくるかわからない)
考えると気分が沈みもっと疲れた。
(そう言っても、引っ越すお金もないし。なんかいい方法考えないと)
『はぁー』とため息をつき、十秒ほどうなだれた。しかし、いつまでも落ち込んではいられない。今日は月曜日。また新しい一週間が始まるのだ。
(昨日、灯ちゃんに迷惑かけたもんな。いちおう謝ったけど、もう一度謝っておきたいな)
ベッドから起き顔を洗いながら思う。洗い終えれば、化粧水をつけたり着替えたりした。
 ふと、何かが光ったような気がした。室内をぐるりと見回すと、光っているのは携帯電話だとわかった。サブディスプレイを見ると『メールを受信』とメッセージが出ていた。
(誰からだろう?こんな朝早くから)
二つ折の携帯電話を開き時間を見れば、まだ午前六時二十五分。
(誰か急ぎの用でもあるのかな?)
思いつつメールをチェックした。
「うそっ!」
しかし受信トレイを開いたとたん、身ぶるいした。メールは鉄平から五通、裕矢から一通、翔太から一通来ていた。
(鉄平ってば、どうやって新しいメールアドレス調べたの?って言うか、ぜんぜんこりていない。警察官になった今井さんに追っ払われたのに。どんだけ前向きなの?)
鉄平からのメールは中身を読みもせず、すぐ削除した。裕矢と翔太からのメールだけ見た。
 裕矢からのメールは、こうだった。
-今日のお昼一緒に食べない?今度は俺がご馳走するよ-
続けて、翔太から来たメールを見た。
-昨日は学際に来てくれてありがとう。それと、ライブを見るのをやめさせてしまってごめん。あの後、鉄平から何か連絡はあった?もしトラブルが起きたらすぐ電話して。時間は気にしないでかけて。相談にのるから。-