教えて!恋愛の女神様

「とにかく。今日はここで帰ったほうがいい」
「えっ?ライブは?せっかく楽しみにしていたのに……」
「申し訳ないけど、今回はあきらめて。知佳ちゃんと鉄平がそんな仲だったと知らなかったから、アイツにもライブのチケットあげちゃったんだ」
「そうなの?」
「うん。ごめんね」
「でも、公演は二回もあるよ。私達一回目を見るつもりなんだけど、鉄平は見ないかもしれない。二回目を見るかもしれないでしょ?」
「それがさっき、知佳ちゃん達が来る前に女の子と電話していて、二時の……一回目のライブを見る約束をしていたんだ。だからたぶん、見に行けば会うと思う」
「鉄平、女の子と見るんだ……」
私はションボリした。一時間もバスに揺られてC大まで来たのに、第一の目的であるライブが見れない上、鉄平が女の子とデートすると知りショックだった。
-私は失恋からようやく立ち直ったばかりなのに、元カレはとっかえひっかえ女の子と遊んでいた-
灯を見れば、やぱりガッカリした顔をしていて、二人してハアとため息をついた。
「ごめん、灯ちゃん。私がダメな男と付き合っていたばっかりにライブが見れなくなって」
「いいよ、こういう事だってあるよ。ライブを見る機会ならまたあるだろうし。……あっ、ほら、三週間後にはうちの大学の学際があるよ。たぶん、うちの大学だって誰か芸人を呼んでいるよ。そこで見ればいいんだよ」
「でも、そんな話聞いていないよ。もし来なかったらどうするの?」
「じゃあ、芸人のライブをどこかに見に行こうよ。私のお父さんがよく言うんだけど、色んな物を見たり聞いたりするのは自分の肥やしになるから、服とかバッグばっかり買っていないで、美術館に行ったりお芝居を観に行きなさいって。最初は信じていなかったんだけど、あんまりしつこく言うからバイト代はたいてとあるお芝居を見に行ったの。去年の春、けっこう評判になっていたお芝居をね。そうしたら、すっごい面白くてね。俳優さんが台本も見ずにスラスラセリフをしゃべっているのがすごくて、本当に感動したの。『お父さんの言っていた事本当だった!こんなにすごい事、見に来ないとわからない!』って心底思ったんだ」