「本当、ひどいだろ。俺も何人かの女の子と会った事があるんだけど、みんな良い子ばかりだった。あきらかに鉄平の口車に乗せられている感じだった」
「…………」
「でもね、知佳ちゃん。もっとも覚えていて欲しいのは、ここからなんだ」
「ここから?」
「あいつが十五人もの女の子と付き合い続ける事ができる最大の理由は、ほかの女癖が悪い男とちょっと違っている」
「どんな風に違うの?」
「鉄平は、ある程度付き合ったら振るんだけど」
「…………」
「何週間かしたら、また復縁をせまるんだ」
「復縁をせまる?」
「そう。そしてまたある程度付き合ったら振る。ゴミみたいにね」
「また振るの?」
「ああ。だから、モーションかけてきたら気を付けて。絶対に相手にしちゃダメだ。知佳ちゃんは良い子みたいだから、傷ついて欲しくない」
「うん、気をつける」
翔太はふいに大きなため息をついた。
「俺の言った事、肝に銘じてね」
「翔太君、優しいね」
「違う。俺は今度こそ女の子を救いたいんだ」
「救いたい?何かあったの?」
「うん、実はね……」
翔太はまた一つため息をついた。
「前にもこんな風に鉄平の事について話した女の子がいたんだけど」
「うん」
「彼女は俺の言う事を聞かずに復縁してしまったんだ。そして……」
「そして?」
「結局またすぐ捨てられて、自殺したんだ」
「自殺!」
私と灯は同時に叫んだ。灯は続いて私の気持ちを代弁するようしゃべりだした。
「ひどい!女をなんだと思っているの?『飽きたら捨てる』だなんて。物じゃないのよ!」
「たぶんモテすぎて女の子に対する考え方がマヒしているんだと思う」
「そういう奴に限って、自分が捨てられたらストーカーになって人を刺したりするんだよね。すっごい勝手!」
「俺もそう思う」
「ねえ、鉄平は元カノジョが自殺したって知った時、やっぱり後悔していた?」