「何かされたんだろ?俺、力になるよ。何でも言って」
「…………」
もちろん私は言えない。下を向くと、押し黙った。
「ここじゃ人目が多いかな。……そうだ、空き教室へ行こう」
「いいの?カフェの手伝いはしなくて大丈夫?」
「少しくらい平気だよ。さ、行こう」
「でも、真実を知ったらガッカリしちゃうかも……」
「俺、こう見えて心が広いんだ。ちょっとくらい平気。それに、君に話しておきたい事があるんだ」
「話しておきたい事?」
「ああ。どっちかっていうと、そっちがメインかな」
翔太は表情を曇らせた。よくない知らせだと感じ、さらに不安を募らせた。
中央棟の外を回って右側に立つ建物に入ると、翔太はかたっぱしから教室のドアのノブを回した。しかし、防犯のためか開いている教室はない。みんな鍵がしめられている。それでも翔太はあきらめない。『もしかしたら、どこか開いているかもしれない』と粘り強くドアのノブを回した。
「あっ、あった!」
すると、思いが通じたのか、二階に上がってすぐ角にある教室のドアが開いた。
「さあ、どうぞ」
翔太はドアを開け中に招き入れてくれた。その教室は私が通う学校にもあるスタイルで、黒板へ向かって机と椅子が平行に並び全て固定されていた。椅子は映画館のように背もたれと合わさるよう二つ折になっていて、座る時広げて腰かけるものだった。
百人は座れそうな教室の真ん中あたりに私と灯が並んで座ると、翔太は前にある席の椅子に座った。ただ、椅子を回転させて座る事はできないので、できるだけ顔と体を私達の方へ向けて座ってくれた。
「時間もあんまりない事だし。さっそく知佳ちゃんの話を聞こうかな」
「それは、その……」
「うん」
「だから、まあ、鉄平とは色々あって」
「うん」
「その、何て言うか、深い男女の仲だったと言うか……」
「つまり、付き合っていたって事?」
「ええ、まあ、そうですね」
「…………」
もちろん私は言えない。下を向くと、押し黙った。
「ここじゃ人目が多いかな。……そうだ、空き教室へ行こう」
「いいの?カフェの手伝いはしなくて大丈夫?」
「少しくらい平気だよ。さ、行こう」
「でも、真実を知ったらガッカリしちゃうかも……」
「俺、こう見えて心が広いんだ。ちょっとくらい平気。それに、君に話しておきたい事があるんだ」
「話しておきたい事?」
「ああ。どっちかっていうと、そっちがメインかな」
翔太は表情を曇らせた。よくない知らせだと感じ、さらに不安を募らせた。
中央棟の外を回って右側に立つ建物に入ると、翔太はかたっぱしから教室のドアのノブを回した。しかし、防犯のためか開いている教室はない。みんな鍵がしめられている。それでも翔太はあきらめない。『もしかしたら、どこか開いているかもしれない』と粘り強くドアのノブを回した。
「あっ、あった!」
すると、思いが通じたのか、二階に上がってすぐ角にある教室のドアが開いた。
「さあ、どうぞ」
翔太はドアを開け中に招き入れてくれた。その教室は私が通う学校にもあるスタイルで、黒板へ向かって机と椅子が平行に並び全て固定されていた。椅子は映画館のように背もたれと合わさるよう二つ折になっていて、座る時広げて腰かけるものだった。
百人は座れそうな教室の真ん中あたりに私と灯が並んで座ると、翔太は前にある席の椅子に座った。ただ、椅子を回転させて座る事はできないので、できるだけ顔と体を私達の方へ向けて座ってくれた。
「時間もあんまりない事だし。さっそく知佳ちゃんの話を聞こうかな」
「それは、その……」
「うん」
「だから、まあ、鉄平とは色々あって」
「うん」
「その、何て言うか、深い男女の仲だったと言うか……」
「つまり、付き合っていたって事?」
「ええ、まあ、そうですね」

