(彼女いるけど、もうそんな事どうだっていい!絶対モテ子になって、私の男にしてみせる。絶対する!)
「ねえ、知佳ちゃん。このイケメン君って、もしかしてライブのチケットをくれた人?」「うん!」
灯はちょっと興奮した様子で言った。私と同じようにバロメーターが上がったらしい。翔太のイケメンぶりはかなりのものだ。
「こんにちわ、君は知佳ちゃんの友達?」
「はい、松本灯と申します!」
「申しますだなんて……もっとリラックスして。僕は松本さんと同い年だよ。気を使わないで」
「そうですか?じゃあ、お言葉に甘えて普通にしゃべります」
灯はペコリと頭を下げた。
「そうだ、翔太君。何か食べる物はある?お昼だし、おなかが空いているの」
「サンドイッチとピタパン、ベーグル、フランクフルトと色々あるよ。パン類は結構種類があるから、メニュー表を見て選んで」
「ありがとう、そうする」
私と灯は翔太の後をついて、空いている席に向かった。
 テーブルについて翔太とともにメニュー表を眺めていると、誰かがそばに寄ってきた。見ると、同じように制服を着た男子学生が二人、ニコニコして立っていた。
「こんにちわ、もしかして翔太のお友達?」
「お友達と言うか……知り合いに近いかな?」
「うんうん、特に問題はないよ。僕達はお嬢さん達に会えてとても嬉しいよ」
「お嬢さんだなんて……普通の短大生ですよ。照れちゃうな」
「おお、短大生なんだ!で、どこの短大?」
「青館大の短大部です」
「青館大!いいねぇ。会社の社長の息子や娘が多く通っているせいかな、お嬢さん達も品があるね」
「そんなことないですよ!たしかに知佳ちゃんは社長令嬢だけど、私は庶民だもん」
「ウソばっかり!私こそ庶民だよ。父さんは自営で小さな時計店を経営しているだけ。灯ちゃんこそ、お父さんお医者さんでしょ?セレブじゃない」