日は過ぎて、日曜日、午前十時三十分。大学の正門そばで灯と落ち合った私は、五十メートル離れたところにあるバス停でバスに乗りC大へ向かった。
 今日は灯と約束していたC大の学園祭へ行く日だった。
(C大に入るのは初めてだから、すごい楽しみ!私はレベル高すぎて受験さえさせてもらえなかった。つまりここに通う人はみんな頭が良い。お店とかもすごく工夫しているんじゃないかな。うわ、なんかワクワクしてきた!)
「知佳ちゃん、ニヤニヤしてどうしたの?なんかいいことあった?」
「ううん。学園祭楽しみだなーと思って。C大は頭良い人ばかりでしょ。色々凝ってやっているんじゃないかと思うと、ついワクワクしちゃった」
「ああ、なるほどね。うちの大学よりなんでも一ひねりしてありそうだよね」
「でしょ?」
私たちは顔を見合わせウフフと笑った。今日一日、バラ色に思えてしょうがなかった。
 順調にC大の停留所に着くと、人の流れに乗って正門へ向かった。いざ着いてみると、考えていたよりずっと多くの人が学園際に遊びに来ていて、バスを利用した人だけじゃなく近くのスーパーに車を停めた人も大勢正門歩いていた。
「すごい人だね!」
「本当!さすが多くの科がある大学って感じ。あきらかに保護者みたいな人が、あちこちに見えるもん」
「お昼ごはん、すぐ食べた方がいいかも。じゃないと待つのに時間かかって、ライブ見れないかもしれない」
「そうだね。色々見る前に、お昼ご飯食べちゃったほうが良いね」
「そういえば、知佳ちゃんにライブのチケットくれた人って、何かお店やっていないの?」
「たしかカフェをやるって言っていた」
「それいいじゃん!そこでご飯は食べられないのかな?サンドイッチとか、オムレツとか」
「ごめん、そこまで聞いていないからわからない」
「そっかー。ちなみにお店の名前は何?」
「えっと、ヤンチャBOY、オテンバGIRLって言っていた」
「ちょっと大胆な名前だね」
「大胆?そう?」
「だって、自分をさらけ出している感じがするもん。私だったら恥ずかしい」
「あー、なるほどね」