私はすごく関心した。
 だが、アミ、ユカ、マアコは全く反対の事を……いつものようにまずは外見で裕矢をダメな男と判断したらしく、小馬鹿にしたように笑った。続いて、信じられない言葉を言った。
「ねえ、知佳。彼に浪人か留年したかどうか確認した?」
「え?」
一瞬にして、その場が凍りついた。いや、周りのテーブルに座っていた人たちも凍りついた。
「え?じゃないでしょ。私たちはレベルの高い女だから、浪人したり留年した男は相手にしないって言ったじゃない」
「そ、そうだっけ?ごめん、よく覚えていない」
「やだ、つきさっき話したばかりじゃない!それとも……彼のレベルが低いから、記憶吸われちゃった?吸血鬼みたいに」
キャハハッ!とアミ、ユカ、マアコは笑った。ものすごくおかしい事でもあったかのように。私はますますハラハラして裕矢を見た。さすがに裕矢もムカついた顔をしていた。今にも『俺の事をよく知りもしないで、よく失礼な事が言えるな』と叫びそうだった。
(うわー、マジで怒っている。どうしよう!)
すると先日、翔太とアミ、ユカ、マアコ達が言い合いになった事を思い出した。あの時アミと翔太は激しくののしり合い、最後は翔太が私に『君、サイテーだな』と叱責を浴びせ去ったのだ。
 私は頭から血の気が引いた。クラクラした。
(また、サイテーだって言われるのはヤダ!)
心の中で絶叫した。
 ふいにロマンスのアドバイスを思い出した。
-『男に人前で恥をかかすな。これは、いかなるシチュエーションにおいてもだ』-
-いかなる、シチュエーションにおいてもだ-
(いかなるシチュエーションにおいても、男に人前で恥をかかせるな。……それは、こういう場面でも同じだよね。だとすると、つまり今は裕矢さんが『浪人していようが、留年していようが関係ない。一生懸命真面目に働いているなら、いいでしょ!』とアミたちに反論するって事だよね)
とたん、私はイヤな事をひらめき、ドキッとした。