教えて!恋愛の女神様

二人目を合わせ、アハハ!と笑った。そうしてもう一口食べたら、なんだかいつもよりおいしく感じた。
 裕矢の食べっぷりもよかった。ご飯をモリモリ、それもきれいに食べた。不平、不満はほとんど口にしない。今まで付き合った男たちは『このご飯パサついてる』とか、『金取っているわりにはヒドい味だ』とか、必ず文句を言っていた。前の彼氏など、自分の父や母と同じ歳くらいのウエイターやウエイトレスにため口で文句を言ったり、けなしたりしていた。表情が硬くなっていく彼らを見て、私は常にハラハラしていた。『客だが、お前は若造だ。そんな口の利き方しかできないなら、食べなくて結構だ!』と店から追い出されやしないかと思った。
(あのことを考えると、ホッとするな)
心の底から思って。
 裕矢とここ最近あったことを話していると、トレーを持った灯が、友人二人と共に料理コーナーから出て来た。目が合うと灯はニッコリ笑った。私は、朝、アミ達が彼女の事を馬鹿にしていたのを思い出し心苦しかったが、なんとか手を振りかえした。『どうしたの?』とたずねられても答えれないから。
「知佳ちゃん、ここ、空いて……」
ただ、灯は私のそばまで来ると、裕矢を見てびっくりした。よもや裕矢と一緒だとは思っていなかったのだろう。灯と一緒にいた同じ学部の山田やす子が『図書館司書の人だ!』
と言えば、ますます目を見開き驚いた。
 その場にいた全員、一瞬かたまった。
 しかしすぐ裕矢は椅子から立ち上がり、挨拶した。
「こんにちわ、あなたの言う通り図書館司書の澤田です。いつも図書館を利用してくれてありがとう」
「こちらこそ。おかげで助かっています」
やす子はペコリと頭を下げた。全員ウフフと笑った。
「よかったら、一緒に座りませんか?」
「えっ、いいんですか?」」
「もちろん。みんなで食べた方がおいしいでしょ?」
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて」
灯、やす子、小山ミサオはトレーをテーブルの上に置き、それぞれ椅子に座った。裕矢と私の関係が気になっているみたいだったが、三人ともおなかが空いていたらしく、裕矢に負けないくらいモリモリ食べた。