「じゃ、ご飯食べに行こうか」
「はい」
「せっかくごちそうしてもらうし、高いのにするかな」
急に私は素に戻った。お金にかかわる話は聞き捨てならない。パン屋を出ると、私は『あのう』と言って裕矢を引き留めた。
「それは、ちょっと困ります!私、バイトはしていますけど、たくさんは稼いでいないんです。できれば、あんまり高くない方がいいです」
「冗談だよ。定食でいいよ」
「本当ですか?」
「本当だよ。好きな女の子を困らせたりしないよ、俺は」
裕矢はまっすぐに熱い視線を投げてきた。私はドキドキして視線を泳がせた。翔太を好きなのに、裕矢の視線に負けて『付き合ってもいい』と言ってしまいそうで。
「ほら、行くよ。そろそろ混んでくる頃だから、早く行かないと席が無くなっちゃう」
「あっ、はい」
うなづくと裕矢はすかざず私の腰に手を回した。ドキッとしたが、『男に人前で恥をかかすな』を再び思い出し、逃げたくなるのをガマンした。同時に、『お金は先に渡して、相手に払ってもらえ』も、思い出した。
私は慌てて裕矢をトイレの前へ引っ張って行った。そこはいつも人がまばらだから。
「どうしたの?知佳ちゃん」
「私、計算が苦手なんです。だから、かわりに食券買ってもらおうと思って」
「いいよ、おやすい御用さ」
私は鞄の中から財布を取り出し、千円札を出すと裕矢に渡した。
「お願いします」
「オーケー」
二人同じタイミングで歩き出すと、食券の販売機に向かった。パン屋から数メートルしか離れていないので、すぐ着いた。着くなり早速食券を買う事にした。
「さて、俺は何にしようかな?A定食かな?」
「A定食は……あっ!照り焼きハンバーグだ!ここのハンバーグ、おいしいですよね?」
「うん。しかも安い!スープとサラダ、ご飯かパンがついて三百二十円!色々魅力的だ」
「私、A定食にしよう!」
「俺も。じゃあ、A定食の券二枚……と」
裕矢はA定食の件を千円札で二枚買った。そして、出て来たお釣りを私に渡してくれた。
「はい」
「せっかくごちそうしてもらうし、高いのにするかな」
急に私は素に戻った。お金にかかわる話は聞き捨てならない。パン屋を出ると、私は『あのう』と言って裕矢を引き留めた。
「それは、ちょっと困ります!私、バイトはしていますけど、たくさんは稼いでいないんです。できれば、あんまり高くない方がいいです」
「冗談だよ。定食でいいよ」
「本当ですか?」
「本当だよ。好きな女の子を困らせたりしないよ、俺は」
裕矢はまっすぐに熱い視線を投げてきた。私はドキドキして視線を泳がせた。翔太を好きなのに、裕矢の視線に負けて『付き合ってもいい』と言ってしまいそうで。
「ほら、行くよ。そろそろ混んでくる頃だから、早く行かないと席が無くなっちゃう」
「あっ、はい」
うなづくと裕矢はすかざず私の腰に手を回した。ドキッとしたが、『男に人前で恥をかかすな』を再び思い出し、逃げたくなるのをガマンした。同時に、『お金は先に渡して、相手に払ってもらえ』も、思い出した。
私は慌てて裕矢をトイレの前へ引っ張って行った。そこはいつも人がまばらだから。
「どうしたの?知佳ちゃん」
「私、計算が苦手なんです。だから、かわりに食券買ってもらおうと思って」
「いいよ、おやすい御用さ」
私は鞄の中から財布を取り出し、千円札を出すと裕矢に渡した。
「お願いします」
「オーケー」
二人同じタイミングで歩き出すと、食券の販売機に向かった。パン屋から数メートルしか離れていないので、すぐ着いた。着くなり早速食券を買う事にした。
「さて、俺は何にしようかな?A定食かな?」
「A定食は……あっ!照り焼きハンバーグだ!ここのハンバーグ、おいしいですよね?」
「うん。しかも安い!スープとサラダ、ご飯かパンがついて三百二十円!色々魅力的だ」
「私、A定食にしよう!」
「俺も。じゃあ、A定食の券二枚……と」
裕矢はA定食の件を千円札で二枚買った。そして、出て来たお釣りを私に渡してくれた。

