初めて口をきいた日から少しずつではあったが、ケンイチはアユミに心を開くようになった。


同じような境遇で同じ罪を背負った二人の悲しみは共鳴し、交じり合った。


……楽しかった?

何が?

子供の頃よ。

まさか……。

ぜんぜん?

うん、ぜんぜん。

ひとつくらいあるでしょ?

……ないなあ。

あはは、可愛そう。

アユミはあるのか?

うーん、あるよ。

お母さんがいた頃は楽しかった。

そっか。

あ、ごめんね。

……いいよ。