美術の時間。 私が落とした定規を拾ってくれたね。 君は一つ前の席で、わざわざ後ろを振り向いて拾って 「コレ誰の」 って...。 完全に私の方を向いていた気がするけど、本当は私が落としたって知ってたの? 拾ってくれるなんて思ってもなかった。 だから、私は君の顔は一度も見れなかったよ。 定規を握る君の手ばっかりを見て、素っ気なく 「ありがとう」 なんて言った。 それだけで、その時間はずっと幸せだった。