君へ願うこと




「え?何処に?」


「来れば分かるよ」


市ノ瀬君はそれだけ答えて再び足を動かす。



「....」

「....」


お互い無言。


何も話さない。


車の音も

人の声も


雨の音が全部かき消す。



駅に入り、市ノ瀬君に言われるがまま切符を買い


到着したばかりの電車に乗り込んだ。



土曜日なのに電車を利用してる人は少なく。


この車両に乗ってるのは


あたしと市ノ瀬君だけ。