「なるほどね」
そう呟くように言った声は先程のものとは違って、
深刻さが伝わって来る。
「みっちゃん、何か知らない?」
「多分、その男の子、1年の冬に事故で亡くなったはずだよ」
「事故?」
「確かね。あたしも詳しいことは分からないんだけど。
クラスでも結構地味だったらしいから知ってる人は少ないんじゃない?」
「そう、なんだ」
亡くなってるんだ。この男の子..
「じゃあ名前とか覚えてないよね」
「ごめん、あたしも名前までは思い出せない。クラスも違ったし。
関わりなかったしね」
「そう、だよね」
市ノ瀬君ではなかった。
それはよく分かった。


