恋がはじまるよ

「一生懸命作るもん!」

 ムキになって、結衣はそう言ったが。

「一生懸命作っても、マズいものは、マズいだろ。とにかく、マズかったら、俺は食べないから」

 洸貴は、やっぱり冷たくそう言い返すと、スプーンを置いて席を立った。

 どうして、洸貴は、そんな意地悪なことを言うのだろう。

 ひとり、ダイニングのテーブルに残された結衣は、悲しい気持ちと、悔しい気持ちが一度に溢れてきて、さっきまで我慢していた涙がぼろぼろと溢れてきた。

 絶対、絶対。

 頑張っておいしいゴハンを作って、洸貴に食べてもらう。

 マズいから食べないなんて、言わせない。

 テーブルの上に置いた両の手のひらに、結衣は、ぐっと力をこめた。