死神アリス



―――と、いうことは、今までアリスに対して怯えていたことも、勇気を振り絞って振り向こうとしていたことも、全てアリスは―――



知 っ て い る ?



うーわっ、恥ずかしっ!
めちゃくちゃ恥ずかしいぜ!


男として情けないところを、麗しき女性であるアリスに見せてしまった俺!
どうする?…どうする俺っ!?



「…………あの、さ…」


軽くショックを受けていた俺に、後ろからアリスが呼び掛ける声が聞こえた。



「…………なんでしょう…」

「…………心……、」

「……………む?」

「………心……あの、その、」

「?」

「…………読まない方が……よかったかな…心……」


アリスは、心から申し訳なさそうな声を出して、ごめんね、と情けなさすぎる俺に謝った。


そんなアリスの声を聞いて、なぜか俺は―――バッと後ろを振り向き、



「そんなことないっ!!アリスは何も悪くないっっ!」



と、叫んでいた。
叫んでしまった。



――――今世紀最大の後悔。
俺は多分、この出来事を死ぬまで一生後悔するであろう。