死神アリス

………。
…………。
………………。



…………………え?
今、確かに後ろから声が。

いや、気のせいなのだろうか。…きっと、気のせいなのだろう。
だって、そうじゃないと…困る。
さっきまでは確かに、死神アリスにが実在してほしい、実在してくれないとちょっと悲しい、と思っていた。

だが、それは、多分…俺は心のどこかで「死神アリス」を信じていなかったからだ。
信じていなかったからこそ、そう思っていたんだ…。


どうしよう。
俺は不安だけが、心の中を支配されていた。
死神アリスが、怖い。
どうしようもなく、怖い。



頼む…!殺……殺さないで、くれ…っ!



「……殺す、か…」


死神アリスの声が後ろから聞こえた。
死神アリスの声は、幼くて、そして、綺麗で尚且つ可愛い声だった。

ネット上の人間が言うには、死神アリスは「白装束」を着ていて、「灰色」の長い髪の毛で、「白いリボン」を着用している。…らしい。
今振り向けば、それが真実なのか、それとも間違っているのかどうか、分かるのだが、…もし、死神アリスがネット上の人間が言うような姿だったら、俺は…恐怖でへたり込んでしまうだろう。



今、俺はとても死神アリスが恐ろしい。



さっきまでの威勢はもう、どこにもない。