「………死神アリスについて、教えてくれないか?君は今まで、“死神アリス”として、一体どんなことをしてきたんだ?」
俺の質問に「え?」という表情を浮かべるアリス。…もしかしたら俺が、“死神アリス”について質問するなんて、予想外だったのかもしれない。
しかし、すぐにその表情は消え、
「……うん、分かった。」
そしてまた、あの笑みを浮かべた。
俺はその笑みを見て、心がずきっと痛んだ。
「まず最初にね、“死神アリス”は、心の弱いヒトの代わりに、憎くて憎くて仕方ない人を殺す存在なの。
私に依頼してくれたら、私は――その憎い人を完膚なきまで殺す。
…でも、ただじゃ殺さない。
それ相応の“代償”を私にくれなきゃ、殺さないわ。
…本当はね、“代償”は基本的に何でもいいの。その人の玩具、夢、記憶、体、声。…何でも。
でも私は優しくないから。その人の一番大事なモノを奪う。
奪って、後悔させる。
人は、殺しちゃいけないんだ、って」
続けて、アリスは言う。
「でも、減らない。
私に依頼する人はどんどんと増えていくばかりで、全然減らない。
この前だって、その前だって。
ヒトは、変わらない…。みんな同じ。」
アリスは悲しそう顔をして、俺の目をじっと見つめた。
「…じゃあ、今までアリスに依頼してきた人はみんな、どんな感じの奴だったんだ?」
俺の新たな質問を聞いたアリスは、くすっと笑い、そして、
「見せてあげるわ。見せながら、話してあげる」
そう、答えた。
答えてすぐ、なぜだか分からない…分からないが――
“死神アリス”の断片的な記憶が、俺の脳裏に、深く深く、侵入してきた。
そして、ヒトの絶望、希望、悲しみ、憎しみが――――

