「………知りたい?」
俺の心を読んだアリスは、未だに呆然としていた俺に問い掛けた。
アリスの目は、ブルーの綺麗な目である。しかし、その綺麗な目に光は宿っていなかった。
虚ろな目。アリスは一体、どんな生活を強いられて、どんな気持ちで、世界を生きてきたのだろう。
知りたい。気になる。
そしてアリスを―――助けてやりたい。
「………アリス…」
俺はアリスの問い掛けに、こくっと首を縦に振った。すると、アリスはくすっと笑い、一歩、二歩と俺の近くに歩み寄りながら、
「……じゃあ、まずは何から聞きたい?」
と俺に訊ねた。
何から聞きたい、と訊かれても、…聞きたいことなんてたくさんある。
しかし、まずはアリスのことについてではなく、“死神アリス”についての話を聞きたい、とそう思った。
この目の前の少女は、死神アリスとして一体どんなことをしてきたのだろう。
そして、そのことをちゃんと理解してから、アリスのことについて訊ねよう、とそう思った。

