死神アリス




「…………あ、」


叫んでから気付いた。


俺……普通に後ろ振り向いてんじゃん。


勇気を振り絞って、とか好奇心とかじゃなくて、普通に勢いのまま。



そして、勢いのまま、アリスの顔を見た。



可  愛  い  



としか言えないほど、可愛かった。


死神アリスと言えば、顔立ちなどが大人びていて、白と薄い灰色の長髪で、血が錆び付いた鎌や鉈を両手で持っているような、そんなイメージがあった。


だが、目の前のアリスは、イメージの中のアリスと少し、…いや、半分くらい、違っていた。


確かに目の前のアリスは、白と薄い灰色の長髪である。


しかし、髪を二つに括っており―――いわゆる、ツインテ、という髪型であり、子供っぽくてとても可愛い。


それから、顔立ちはとても幼い。
アリスは…十二、三歳くらいなのだろうか?
普通に義務教育を受けて、普通に同年代の友人と過ごしていそうな年頃の子。
身長もそれ相応に、とても小さい。


あと、アリスの両手には何もなかった。
……やはり、アリスの噂は嘘なのだろうか。

血が錆び付いた鎌や鉈……。
誰だ、そんな事言い出した奴。


こんな幼気(いたいけ)な子が鎌や鉈を持って、人を殺すわけないだろう。