「なぁ、結衣なんだろ? どうして逃げんだよ…?」 私の顔の目の前には雅樹の顔。 慣れない下駄に浴衣。 もともと運動神経の悪い私。 肝心な時に……コケちゃった…。 ダメダメじゃん私…。 軽く抱きかかえられているというか、 身体を完全に雅樹に預けている状態。 ……心臓がうるさい。 それに、目の前が滲んできた…。 どんだけ泣けば気が済むの…。 「なあ、何か言えよ。 俺の顔も見ないし…。」