跳ね返った風が、リィナたちに吹く。
しかし、それには刃は混じっておらず、ただの強い風であった。
「いっけぇぇぇええ!!!!」
レイドは叫び、魔法陣の光をよりいっそう強くする。
魔力を注ぎ込んでいるのだ。
ピキッ…ピキッ…!
徐々に結界にヒビが入る。
「耐えろ!!」
「うぉぉぉおお!!」
パリーーンッッッ!!!
ついに結界が破れた。
「そ、そんな!」
レイドは少し、よろめいた。
「行け!リィナ!!」
「えぇ!!」
リィナ率いるルーゼンの騎士たちは勢いよく馬を走らせた。
リヴェンの騎士たちは掃け退けた。
「お前たちには、迷いがあった。だから、負けたんだ。」
レイドは騎士たちにそれだけ言った。
「レイド様!」
列の最後尾で走っていたシューが、レイドの腕を掴み上げて、後ろに座らせた。
「すまねぇな。」
「無理はなさらないで下さいよ。」
「へへっ。」
シューは歯を少しだけ見せて、笑った。
「飛ばしますよ!」
「あぁ、頼む!」
ドドド……!
城までもう少しだ。